宿は和久の住まいにいちばん近い鹿島ハイツにしたかったのですが、しっかり断られて次ぎに近い白帆荘になりました。

　ここは、子供たちが小さかった頃によく泊まった国民宿舎そのままの面影を残しています。お布団は自分で、トイレ・洗面所は部屋の外、ゲームセンターなし、周りにお金を使う場所なし、あの頃の子供たちには不評でしたし、私も日常に疲れているのでリフレッシュのために旅をするのだから、いつかは一泊なん万円もするいつもと違う経験がしたいと望んでいました。

　ところがところが、年月が過ぎて今となると、ここは何かホッとします。すごいところは何もなくて、欠点をあげればきりなくありそうなのに、ゆったりした気分になれました。狭めの部屋にきちきちに、お布団を三人分並べて久しぶりの川の字、和久もいずれ結婚するでしょうからこれで最後だろうなと思いながら、七時に消灯、五時起床。なにもかもが昔のままでした。